子どものころからプラモデルが大嫌いで、大人になっても他人の作った設計図に従うことができません。何かの障害なのかもしれませんが、好ましい点もあります。
小学生時代のバースデー・プレゼントで、最もうれしくないのがプラモデルでした。いただいておきながら申し訳ないけど、作らずにそのまま放置しておくのが常でした。
完成がすでに約束され、それを設計図の通りに作るのが楽しいと思えなかったのです。
思い立って複数のプラモデルの箱を開け、それらの部品を使って別のものを作ろうと考えます。当然、途中で破たん。やっぱり退屈、との気持ちが強まりました。
その時から、何かをち密に作り上げるより、感覚で仕上げる方面に進んでいきました。技術者はもちろん、役人や銀行員などの職業の選択肢は自然に消滅していったのです。
しかし、中高年になって、プラモデル作りの苦い過去を振り返る時がくるとは思いませんでした。ネットビジネス商材がそれ。
「こちらの指示した通りに進めていただければ、収益を上げることができます。カンタンですよね」。当然、途中で破たん。三つ子の魂・・・。
ある日の東急ストアで小エビを発見。「唐揚げ用」とあり、衣用の粉が付いています。世の中(この場合は生産者や販売者)は僕に小エビの唐揚げを作るように指示しているのです。
自宅に戻り、さっそく準備に取り掛かります。フライパンにオリーブ油を敷き、鷹の爪、小エビ、プチトマトを炒めます。パスタの前にゆでたキャベツも投入。
塩コショーに白ワイン、しょう油少々、酢、粉チーズで風味付け。ゆでたてのパスタをゆで汁とともに乳化させたソースを絡め、完成!
小エビのエキスがソースとなって春キャベツやパスタに絡み、何とも新しい季節の到来を感じさせる一品に仕上がりました。外食のランチでも、こんなエビの濃厚さは味わえませよ!
(おわり)