中高年世代の方々は、ホットケーキに対する畏敬(いけい)の念をお持ちでないでしょうか?あの焼き色のついたアツアツの生地に溶けかかったバター、メープルシロップ・・・。
子どものころに見たテレビCMの映像って、何十年経っても頭の片隅に残っています。その1つがホットケーキ。飽食の時代ではなかったころの少年少女は、誰もが記憶していることでしょう。
もちろん、当時からホットケーキ・ミックスのように牛乳や卵と混ぜ合わせ、フライパンで焼けば自宅でカンタンに作れるものはありました。でも、家庭では完成写真などのように、あれほど上手には焼けません。
子どものころはケーキ屋で見て食べるしか「ホンモノ」とめぐり合う機会はありませんでした。その後ファミリーレストランで普及し、ありがたみはかなり薄れたように思えます。
さらに価値を下げたのはコンビニでしょう。自宅の菓子パンを切らすと時々「仕方なく」近くのコンビニで買うのですが、できればこんな間に合わせは避けたいですね。
ファミリーマートもローソンも同じような商品を扱っているところをみると、よほどお手軽に生産でき、しかも需要が高いのでしょう。100円程度の価格を見ても、そのように理解できます。
見てくださいよ、このどら焼きのようなコンパクトなサイズ。しかも薄い。半分にすると、中からお慰みのようなマーガリンとメープルシロップがドロッと。せめてトースターで温めてやりましょう。
それにしても、コンビニのパンはいただけませんね。なにが「ベーカリー」なのか、悲しくなります。間に合わせの生活が常態化すれば、間に合わせの人生になってしまいます。コンビニからはそう学びます。
それでも、自宅でホットケーキ・ミックスを使って時間をかけても上手く焼けないストレスと比べると、どちらがマシでしょうか。やっぱり後者かな。
現在は需要と供給がマッチしているのかもしれませんが、供給サイドのすそ野が広がり価値が下がったという意味で、ホットケーキは日本経済同様、「デフレ」と言えるでしょう。
そろそろ、ど素人でも完成写真のように上手に焼けるホットケーキ・ミックスが商品開発されませんかね。
(おわり)