「カレー」のことを考えただけで、人は誰でも頭の中が黄色く染まってしまうものです。しかし、先日は調理している最中に、黄色ではなく真っ白になりました。
ご近所さんから菜花(なばな)をいただき、いつものようにカレーを作っていました。まずは塩コショー済みのチキンをオリーブ油でソテーし一口サイズに切り分けた後、再び鍋に戻します。細かく刻んだ菜花とともに炒めましょうか。
ジャガイモを加え、少し火を通してから水で煮込みます。そこに赤ワインをドボッ。あとはカレールーとインデラカレー(カレー粉)で煮込むだけ。
冷蔵庫からカレールーを取り出そうとして、そこで初めてカレールーを切らしたことに気づきます。一瞬、何が起こったのかわからず、茫然と冷蔵庫の中を見つめるのみ。
今煮込んでいるものは一体どうなるのか。頭の中が真っ白で、思考が止まってしまいます。辛うじてインデラカレーを見つけ、手に取りました。
よし、カレー粉だけで作って人生を立て直そう。そう決心し、再び調理に取りかかります。まずは味噌としょう油、みりん、酢と思いつきで下味をつけていきます。
味が馴染んできたら、今度はインデラカレーを溶かしながら煮込んでいきましょう。ちょっとしょう油を足しますね。赤ワインも少々加えます。
途中で味見してみると、結構それっぽくなってきました。ウスターソースを追加投入して味を調え、さらに煮込んで完成!
胚芽米のご飯にかけて味わってみると・・・なぜかオーガニック・テイスト。菜花とジャガイモの風味が前面に押し出されています。
そこで気がつきます。いつも当たり前のように使用してきたカレールーって、考えてみれば化学調味料だらけではないか、と。それを使わないことによって、素材が生かされる、と。
カレー粉だけで作るカレーは、舌に化学調味料特有の不自然な後味が残りません。つまり、人工的でないやさしい味がします。なるほどなるほど。歴史的な発見です。カレーは懐(ふところ)が深い。
(おわり)