コピーライターの食卓

主夫歴30年、ほぼ15分の美食メニューがここにある

カツ丼 長ネギを使って失敗

ドンブリ界の総元締め、カツ丼。その日の献立に組み込まれた瞬間からテンションが急激に上昇するのは、僕だけではありません。しかし、失敗すると、期待の7.4倍の打撃を受けると推測されます。

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トンカツ発見で「カツ丼」を機関決定

自宅で揚げ物はほとんど作らないので、カツを入手するのは大体スーパーか近所の肉屋さんです。この日はライフでした。四元豚のトンカツ(税抜き350円)。立派じゃないですか。

そのままでも十分ご馳走です。

でも、そのトンカツを見た瞬間から、明日の夜はカツ丼と機関決定してしまったのです。合理的な理由などありませんが、機関決定なので揺らぎません。もう徹頭徹尾カツ丼です。

そして、「明日の夜」に向けて、生活のすべてが回り始めます。食事の時間が20時なので、19時に入浴。空腹しておく必要があるので、ランチは遅くとも13時30分には終える、などですね。

午後8時、午後7時ではダメです。午前と午後を間違えたらタイヘンなことになります鉄道各社のように緊張感を持って20時、19時とする必要があります。そうして逆算し、起床は6時30分と決まりました。

玉ネギでなく長ネギを新提案

刻一刻とドンブリ界の総元締めとのご面談が迫っています。否が応でもテンションが上がり、時計ばかり見てしまいます。

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それほどまでに緊張の度合いが高まるのは、今回は玉ネギではなく長ネギの使用を試みるためです。ドンブリ界の総元締めに、異議を唱えようというのです。僭越(せんえつ)ながら提案をしようというのです。

とうとう、その時がやってきました。ご飯が炊き上がったのを見計らい、小ぶりのフライパンにしょう油、みりん、かつお節の粉を目分量で入れ、沸騰させます

ここで少し迷いが生じました。でも先へ進みます。迷ったら進むのが人生における流儀なので。カツ丼のタレに長ネギ、カツ、グリーンピースの順に投入し、少し煮込みます。

そして、クライマックスを迎えました。溶き卵を回しかけ、とじようとしています。フタをして終了。さあ、ワシワシと食べ進もうではありませんか。

生死を分けるネギ投入のタイミング

ところが・・・。カツにタレがそれほど浸み込んでいないことが判明し、ショックによるめまいに襲われます。長ネギはというと、火が通りすぎてクタクタに。なんともアンバランスで、われながら情けなくなりました。

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玉ネギ使用なら、ネギ→カツ→煮込む→溶き卵の順でよかったのですが、長ネギ使用で火の通り加減を考えれば、カツ→煮込む→ネギ→溶き卵とするべきでした。

6時30分起床の1日は、こうして失敗に終わりました。テンションが急騰した分、下げ方はNYダウ1000ドル安なんて目じゃありません。頭の中は真っ白になり、その後のことは覚えていません。

這って寝室にたどり着き、リベンジを誓うのが精いっぱいでした。

(おわり)