好きな食べ物だからといって、どれも起源などを知り尽くしているわけではありません。むしろ、知らないものの方が多いのではないでしょうか。
ライフで時々販売されているゲンコツのような無骨な形をしたドーナッツ。見かければ条件反射的に買い物カゴに入れてしまいますね。
表面をサクサク、あるいはカリカリに揚げたもので、子ども向けのおやつのようなわざとらしい甘みではなく、自然な感じが好きなんですよね。
サイズはそれほどではありませんが、けっこうなボリュームで、2個も口に入れればお腹いっぱいになります。
自宅ではコーヒーとともに味わいます。自分にとっては癒されるひと時として、大切にしています。
本日たまたまゲットしたので、いつものようにコーヒーを飲みながら楽しんでいると、「さくさくサーターアンダーギー」という商品名が目に入りました。
アンダーギー?もう何年も前から食べてきたのに、そんな名前だったとは知りませんでした。名前があることさえ知りませんでした。
「サーターアンダーギー」なんてインドかどこかから渡ってきたのかな、ぐらいの認識でしたが、調べてみたら沖縄の伝統的な揚げ菓子と判明。
現地の方言で「サーター」は砂糖、「アンダーギー」は「アンダ」(油)+「アギ」(揚げ)を意味しており、中国にその起源のような揚げ菓子があるそうです。
そして、なんと縁起物とされています。人が笑った時の表情、あるいは花が咲いた時の形に見えることから、お祝いの行事などで振る舞われます。
そう聞いたら、十数年前の今ごろに同僚の結婚式に参列するため、初めて沖縄を訪れた時のことを不意に思い出しました。
セレモニーの場所は読谷村(よみたんそん)という町のある教会でした。その同僚とはもう疎遠になってしまいましたが、どうしてるのかな。
僕にはゲンコツにしか見えず、何の変哲もないと思っていたドーナッツが、過去と現在をつないでくれました。
(おわり)