PTコピーライターの食卓

二子玉川在住、個人事業主のテーブルトーク

景気後退で値引き品争奪激化

ここは東京都世田谷区にあるスーパーマーケット。夕方、スタッフが「半額」などと書かれたシールを携えて商品の周辺に現れると買い物客は買い物の手をいったん休め、いっせいに臨戦態勢に。間もなく値引き品の争奪戦が始まろうとしています。

 

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パン・コーナーで菓子パン、総菜パン、食パンが大量に売れ残っています。そこへ、「値引き人」が値引き商品を整理し始めると、ハイエナのような目をした買い物客が同コーナーに集まってきます。「カレーパンだ。いや、コロッケパンにしよう」。やがて「半額」のシールが貼り付けられるであろうパンを品定め。

 

「値引き人」が移動すると、買い物客の群れも同じように移動します。その風景は、まるで飼育係にエサをねだる動物のようでもあります。「値引き人」は、買い物客などまったく眼中になく、あくまで「仕事ですから」という表情で値引きシールを張り付けますが、同時に「それっ」と何人かが値引き品に飛びつくのが見えました。

 

「惣菜コーナーでも値引きしているぞ!」

 

誰かの未確認情報を聞きつけると、一部が惣菜コーナーに回ります。手分けをして夫が惣菜、妻がパンと、目で合図をしながらあうんの呼吸で役割分担する老夫婦は、まさに「夫婦の鏡」といえるでしょう。この時点で争奪戦の勝者圏内に入りました。

 

「いいかい?あれとあれだよ!」

 

右後方から聞こえた声に思わず振り返ると、わが子に目標のパンに指で指示を出している主婦がいます。送り出された男の子は小柄な身体をフルに生かし、目的地に何なくたどり着くと、「あれとあれ」を両手に複数持ち、母親のもとに戻ってきました。わが子を飛び道具のように使いこなす驚くべき戦法。圧勝です。

 

対照的に惨敗を喫したのは、くたびれたコートに身を包んだ中年のサラリーマン。商品に狙いが定まらず、近くのパンに手を伸ばしては、横から素早く出てきた他の人の手で横取りされてしまいます。会社では出世競争に負け、夕方のスーパーでは値引き品争奪戦に敗れる、努力した者が報われない不条理な世の中です。

 

タイムセールか何かの曲が鳴り終らないうちに、値引き品は完売。シールが貼られた商品ばかりでカゴをいっぱいにした主婦が、わが子とともに高笑いしながらレジに向かうのが見えました。世界的に景気減速の影が忍び寄り、日々の争奪戦はますます激しさを増しそうです。

 

(表現はやや大げさです)